電話通心音
『コチラノ電話番号ハ、電源ガ入ッテイナイカ、電波ノ届カナイ・・・』
―――――プッ―――――
何回も聞き慣れた電子音を切る。今日はずっとこの声しか聴いていない気がする・・・。
何度かけてもつながらないんだ・・・・
「・・・どうしちゃったんだろう・・・葵君」
言い慣れた名前を口にする度に心臓が熱くなる。
心の奥で彼の笑顔が浮かぶ・・・・。
「葵君、会いたいよ・・・」
ほんの少し前を思い出す。
「・・・・あのね、ナナ君」
僕の家に遊びに来ていた葵君が深刻そうな顔をした。
「ん?・・・どう、したの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
数分の沈黙が訪れた後、葵君が切り出した。
「俺さ・・・・MASK、辞めることに、したんだ・・・」
「―――――――――――!ぇ!?」
言葉が出なかった。
葵君の話によると、声の悪化と自分の気持ちで、辞めることを決意したんだって。
ずっと、何も言えないで聴いていた。
「・・・・ごめんね、なかなか、言い出せなくて・・・」
「・・・・ぅぅん、仕方ないよ、葵君が決めたこと、だから・・・」
君を、止めることは出来ないよ・・・・。
「ナナ君、俺がMASK辞めても俺はナナ君のことが好きだからね」
「・・・うん」
「ずっと、ずっと好きだからね」
「うんっ、うんっ・・・!!」
「ナナ君は?」
「おれも・・・俺も葵君が好き!ずっと、ずっと!!」
その後、葵君は静かに僕を抱いてくれた。
そう、言ってくれたのに・・・・。
ねぇ、葵君。どうして電話に出てくれないの?
いま、何をしているの?
誰と一緒にいるの?
僕のこと、忘れにゃったのかなぁ・・・・
ねぇ・・・・・?
気がつけば泪が溢れ出ていた。止められないよ、この泪。
止められないんだ、この気持ち・・・・葵君しか、止められないんだよ?
「あおいくん・・・」
―――――ガタッン!!―――――
「・・・っ!!!」
開けていた窓から風が吹き抜けて、机においてあった置物が倒れた。
気がつけば、僕はどうやら眠っていたようだ・・・。
夕方・・・・部屋の中は薄暗い。
手に握りしめた携帯電話をのぞき込む。ディスプレイには・・・・
『未開封メール一件』
の文字。僕は慌ててメールを開封した。
『件名:
送信者:葵
内容:今、何処にいるの?』
僕は嬉しくて何度も何度も読み返した。嬉しくて、嬉しくて・・・!
そして、僕は部屋を飛び出していた。きっと、葵君は家にいるって思ったから!
葵君を思って、かけだした。
葵君の家についた頃にはもう真っ暗だった。
部屋には明かりがある、僕は少し戸惑ったけど、勇気を出してインターフォンを押した。
〜♪・・〜♪・・・
電子音が響く・・・けど、誰も出てこない。
ドアを開けようと、手を伸ばした瞬間・・・・
「ナナ君!?」
僕の後ろの方から声がした。いつも聴きなれてる、心地の良い声。
「葵・・・葵君っ!!」
「ナナ君・・・俺、今からナナ君の家に行こうとしてたんだけど・・・!」
「えっ!?そうなの!?」
「うっうん、携帯家に置いて来ちゃってさ・・・家で履歴観たらナナ君かけてきてくれてて・・・
それで、メール送って、ナナ君の家に行ってみようとしたんだけど・・・・」
葵君は少し気恥ずかしそうに言った。
「携帯忘れてるし、財布忘れてるし、家の鍵掛けるの忘れるしで・・・・いけなくって」
葵君の耳が真っ赤になっている・・・・恥ずかしいんだろうか・・・?
でも、でも・・・そうやってドジしてくれるのって、俺のため・・・・?
急いで、俺の家に来てくれるためだよね・・・・?
そう思うと、葵君が可愛くて仕方なくて・・・
「ぷっ・・・・・くくくくっ」
「!!ナナ君!笑わないでよ!」
「だっだって・・・・葵君可愛い〜!!」
「かわっ・・・・!ナナ君っ!」
「はははっ、ははっ・・・・!」
「もう!」
僕の目の前が少し暗くなったと思ったら、目の前に葵君の顔があって・・・
ちゅっ・・・・・・
キス、された。
久しぶりにする、葵君とのキス。
「(笑顔)ナナ君が笑うからだよ!」
「あ・・・・うっ、うん」
「クスッ、ナナ君相変わらず可愛いね」
「・・・・・・(//////)」
葵君に言われると、凄く恥ずかしいけど、嬉しい・・・!!
「さっ、俺の家に入ろうか。ね?」
「うんっ!!」
葵君が僕の肩を抱いてくれた。優しい手で。
「ねぇ、ナナ君」
「何?」
「 愛 し て る よ 」
僕も・・・愛してる。
*ヲワリ*
はい、葵NAです。初挑戦。
なんか、ナナ君普通に乙女だよね・・・・良いのか?(良くない)
葵君脱退頃の話だと、色々書きやすくて良いですね!
萌えポイント(苦笑)
あ、出しゃばりすぎましたね、ごめんね;