其処は立入禁止区域。




誰も踏み込んでは行けない。




誰も邪魔しちゃいけない。





誰も・・・・・彼を・・・・・





禁止区域






「サボるんなら俺に一言言ってからサボってほしかったよ」



新校舎の北側にある旧校舎。
ほんの数年前まで使っていた校舎は、その学校の歴史を物語る。


古く、寂れた外壁、木造建て独特の匂いと、軋む音のする廊下。
設立100年だっけか・・・・、まぁ、今はほとんど使っていない校舎。
壊すという話が持ち上がっていたが、昔の校長が遺言に取り壊しだけはするなと言ったせいだかおかげだかで取り壊していない。



今は誰も使っていない、物置だけの旧校舎。

去年立入禁止区域に指定された。



ちょっとはみ出た生徒だけが此処の校舎をこよなく愛す(喫煙等の行為のため)


"彼"もその内の一人だ。
ただ彼の場合は優しさのために此処の校舎に通っている。




旧校舎、軋む階段を上り2階の美術室へ。
其処に彼はいる。


ガラリッ


「先輩っ!」



「ちょっ!ばかっ!静かに入れよ・・・こいつ、寝たばっかりなんだぞ」


一番端の机の上に座っている彼の膝では黒猫が気持ちよさそうに眠っている。
またこの子(猫)の為に授業を休んだらしい。



「またブラックの面倒見て・・・・、たまには授業出たら?」

「あの授業は落としても大丈夫だから良いんだよ」


「ふぅ〜・・・、まぁ、いいんだけど」

「それよりお前だって今授業中だろ?」

「あー・・・・。もうあの先生嫌いだから出ない事にした」

「お前だって結局はさぼりじゃねぇか、バーカ」


メガネ越しの目を細くして、白い歯を魅せて彼は笑った。
そんな顔がいたずらっ子っぽくて、まったく可愛いんだよね。


俺は先輩の机横の椅子に腰を下ろした。
この椅子も結構古い。ギシッっという小さな音が鳴った。



「ところで先輩、昨日委員会休んだでしょ?」

「あぁ、帰ってゲームvv」

「昨日は大変だったんだから、先輩は腐っても委員長でしょ?委員長が欠席なんて・・・」

「おいおい、腐ってはねぇだろ。それに俺が好きで入ったんじゃねぇし。
担任が勝手に入れやがったんだよ。今年受験生で、ちょっとでも内心上げるためにな」

「それでも一応来てよ。俺が怒られたんだから」

「なんで?」

「なんでって連帯責任だって」

「ハハハッ、なんだよそれ〜」

「笑い事じゃないんだから。ったく・・・」

「ははっ、悪かったよ。じゃあ明日からなるべく休まないようにしないとな」

「なるべくじゃなく絶対」

「はははっ」




もう春も終わる頃、もうすぐ梅雨の時期になってしまうだろう。
最後の爽やかな風が教室の窓から入り込んでくる。





しばらくお互い無言のままでいた。
暖かいような空間に、少しお互いウトウトし始めたのかも知れない。


ふと、俺は隣に座る先輩の横顔を見た。
膝で眠るブラックを愛しそうに見つめて、とても幸せそうな表情。
普段の荒々しい行動だけを見ている人には、この人のこんな表情は思いもつかないだろう。

その顔は、俺だけが知っている、俺だけの特別。


いつか・・・・、その顔を俺にも・・・・




なんて・・・・、言えないけどね。
「ねぇ、先輩」
「ん?」

「先輩はその・・・進路とかどうするの?」

「ん〜・・・・、取りあえず決めてねぇなぁ」

「えぇ!?もう第一次進路表締め切りなのに?」

「あぁ、うん。・・・・あ、あの紙自体なくしちゃったし(笑」

「・・・・・・はぁ」

「お前がため息つくなよ!・・・・取りあえず、ホントに決めてないけど・・・・
ドラムが出来る事がやりたいんだよ」

「・・・・バンド?」

「うん。・・・専門か、フリーターでしていくかだな」

「・・・・うんうん」



「ドラムが出来るんなら進路なんて何でも良いんだよ。
好きな事が出来るくらいなら、多少の苦労も我慢するし。
自分が好きなことを、本気で貫いて行くんだから、なんでもがんばれるんだよ」


その綺麗な横顔は遠くを見つめている目で、俺の視線にはあわせてくれない。


俺は少し寂しさを覚えた。
いつか、彼の視線は俺に向いてくれるだろうか・・・・



俺は、その誰も寄せ付けないような魅力と貴方の背中にたどり着くことが出来るだろうか?




[ニャー・・・ニャー]

「おっ、ブラック起きたかぁ・・・、ははっ」


ブラックは先輩の膝の上でのびをして、膝を降りていった。


「はぁ〜、さってと。ブラックも起きたし、もうすぐ授業終わるし・・・、行こうか」



立ち上がり、教室の出口に向かう先輩。



「ねぇ、先輩」


先輩が振り返る。
「ん?」




「俺・・・・。俺いつか先輩に追いついてやるよ。俺も音楽の道に進むから・・・
いつか、先輩が俺の背中見るように・・・・」


その視線を、俺だけのものに。


いつか。



「うん・・・・。来いよ、俺の処に。お前も俺と同じ道選んで・・・一緒に暮らそう」



「・・・・うんっ」






先輩は一つ年上、大人の雰囲気、子供のような性格。



いつか貴方を、振り向かせるよ。




いつかあなたを、追い越してみせるよ。



貴方だけの禁止区域、俺だけが入れるようになるまで。





END




眠気のせいで意識朦朧。
だからすいません、文章変です(いいわけ)
なんか、思っていたようにはいかなくなっちゃって焦りました;
すいません、ホント;


毎回毎回・・・


もういい加減にしろって感じで




うう


2005.05.02







Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!