目隠し
世の中には俺より上の奴もいるもんだ。
いや、居るのは知っているんだ、たくさん居るのは知っている・・・・・・ただ・・・
俺はこの男だけには勝てない。
この男よりいつか上になるのが、今の俺の望み・・・・
都内某所。
今日はちょっとしたローディーの用事で他会社に来ている。
いまはそのローディーが打ち合わせに行って、俺は一人ロビーのソファで持ってきたゲームをしている。
別についてこなくても良い用事だったが、俺も珍しく暇なのでついてきた。
でも結局は待ってるだけなんだけどね。
何時間そうやってゲームやってたんだろう、気がつけば窓の外は日が傾いて薄暗い。
ローディーはまだ戻ってこない。
『あれ・・・・まだかなぁ・・・・・』
ゲームの電源を切る。と・・・
「だぁ〜れだっ!!」
聞き慣れた声とともに、俺の視界は真っ暗になる。
ソファの背もたれの処に誰か座った。後ろから俺は目を隠された。
声といつも俺を触ってくれる手の感触でその人が誰か、すぐに分かった。
「ちょっ!!勇気!?」
「ぶっぶ〜、違いまぁすっ!」
「何いってんだよ、すぐにわかってたんだからな・・・!」
「違うって言ってるだろぉう・・・、さて、おバカな真一郎くんのために、超親切な俺様がヒントを上げましょう♪」
「ったく、手・・・・どけてよ」
「は、まず第一ヒント!髪の少し長くて謎の多い人格ラヂオの王子こと、那おき」
「違う、那おきさんそんなこと言いませんよ」
「じゃぁ次のヒント!半人格ラジオの色黒素敵メガネ、ライ」
「ライさんはこんな悪戯しませんよ」
「じゃぁ次・・・・お前と良く2マンライブをする、ロッキンロールな電脳オブラアトトモロウ」
「あ〜・・・ともろうさんと今度2マンすることになったよ」
「またかよ・・・・」
「ははっ、それファンの子にも言われちゃったよ」
「そりゃぁ言われるだろうよ。お前ら、やりすぎ」
「そうか・・・?」
勇気くんの手の暖かさが伝わる。
なんか、こうやってるのが気持ちよくなってきたな・・・・。
この人の手はギターを弾いているから少し指先が堅い。その感触で俺に触れる。
俺は、この人のその手が好きなんだ。
「うんやりすぎ・・・じゃぁ、最後のヒント!!」
「はいはい・・・何?」
「・・・ホタルの真一郎さん」
「ん?」
「最後は・・・・人格ラジオの美声ヴォーカル、背も高くて、スタイルも良くて性格最高!!」
「はははっ、自分で言うか?」
「でもって・・・・真一郎の恋人の人格ラジオの勇気様」
「・・・・・・・・だから・・・・」
なんでそんなこと自分で言うの?
この人には勝てない、上に立つなんて、この人を動揺させることなんて出来ない。
いつも俺がドキドキして、いつも俺が・・・・この人に惚れている。
「ねぇ、ほら?言ってよ・・・・しんいーちろっ!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「言わないとチュウするよ?」
「人格ラジオの勇気!」
言われて即答。こんな処でされたくないよ・・・・・恥ずかしいから。
「クスクスッ、せいかぁい・・・・正解者にはなんと!!」
「なんだよっ、もう手どけろよ〜」
そういったとたん手が放れた、そのまま手は頬に置かれ無理矢理上を向かされた。
見上げると見慣れた勇気の顔、笑顔で俺を見つめる。
「正解者には、俺をプレゼントします」
といって・・・・
キスをする・・・・・
優しく。
「じゃぁ、帰ろうか?」
「えっ!?」
勇気が唐突に言ってきた。
「あ、いや。だって俺ロー・・・」
「あの人なら帰ったよ」
「はい!?」
「くすくすっ。あのね、俺が返したの。あの人がこっち戻ってくるときに会って
『あれ、勇気さんおはようございます』
『あ、おはようございます。あれ、今日はこっちに用事?』
『そうなんですよ、でももう終わったんですけどね。あ、今日真一郎も来てるんですよ』
『へぇ・・・・。そう、どこにいるの?』
『ロビーの処です。』
『そう、今日はもう終わり?真一郎は用事ない?』
『えぇ、二人とももう帰りですよ』
『ふぅん。あ、じゃあ会議終わったこと真一郎に俺が言っておくよ』
『いいんですか!?』
『うん。そのまま俺あいつと一緒に帰りたいし。ね?』
『そう、そうですか!ありがとうございます』
『いえいえ、じゃぁ!!』
・・・・・ってことなんだよねぇ」
じゃっ、じゃあ俺は・・・・無駄に待っていたのか・・・・・
「ってことで、帰るぞ」
「ちょっ・・・・・もう〜」
強引に勇気さんは俺の腕をひっぱる。その後ろ背中を観て、やっぱり俺は思う。
『やっぱり・・・・かなわないな・・・・』
「真一郎。正解したお前には、今夜一晩寝かせない券上げるよ、もちろん明日は筋肉痛だけどな」
「!!いっいらねぇよばかっ!!」
いつか、この男を動揺させたりするんだ!
振り向かせてやるんだ。ねぇ、毒舌な俺の恋人。
END
はい、というわけで・・・・・
今回も沈みます、なんかへんだから(いつも)
っていうか、やっぱり悠慎!!兄貴受けが良いね!!(ぇ)
あと、密かに勇気さんは、トモロウさんにジェラシーね!!(アヒャッ)